大井川のダムと水力発電所を訪れた。まずはかつての宿場町である島田(静岡県島田市)に東海道線で入る。箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ大井川 と、箱根馬子唄(よみびとしらず)にも詠まれている土地だ。 江戸時代の大井川には橋がなく、そのため雨が降ると、旅人は宿場町で1週間も足止めになることがあった。不便な話だが、お陰で島田の街はおおいに繁盛した。 足止めされた人々の気を晴らそうとする一心で、浪人武士がご法度の賭け試合をしてしまうという山本周五郎の小説『雨あがる』は私の一番好きな小説だが、寺尾聡を主役にした映画を黒沢明監督が撮影したロケ地はこの大井川近辺だったという。 橋を架けなかった理由とし