久々の再開であるが、ここから六国史の五つめ、『日本文徳天皇実録』に入る。『日本文徳天皇実録』は、文徳(もんとく)天皇の一代を対象とする。嘉祥三年(八五〇)三月から天安二年(八五八)八月に至る八年六箇月を収録している。十巻。六国史の中ではじめて「実録」の書名を採用しているが、これは次の『日本三代実録』に踏襲された。貞観十三年(八七一)に清和天皇が右大臣藤原基経や南淵年名・大江音人・善淵愛成・都良香・島田良臣に詔して第一次の編纂を行なったが、清和天皇の譲位や編者の死没などで中断し、元慶二年(八七八)に陽成天皇の勅により基経・良香・良臣に菅原是善を加えて第二次の編纂を行ない、翌年、完成して奏進された