時代は遡り80年前の話。わが国は、多くの政府債務を抱え、戦時物資の調達に苦しみながら終戦を迎えた。終戦直前の1944年度末の国債残高は、約1095億円。当時のGNP推計額対比※で100%を上回る規模であった。それだけに、現代を生きるわれわれが抱くイメージは、国債を大量に発行し、それを日本銀行が引き受けて、軍事費を賄っていたというものである。 しかし、戦時末期の実態は、このイメージとはかけ離れていたようだ。現代も政府債務の拡大に悩まされているだけに、戦時末期の有様を詳しく見てみるのも何かの参考になるかもしれない。以下では、戦時末期に負債が負債を生む、負のスパイラルに陥ったわが国の財政状態について