高度経済成長期に建てられたコンクリート製天守の老朽化問題を、どうするか? 前回挙げた4案のうち、もっとも期待がふくらみそうな木造復元案には、長期的にコストがかさむという問題点があることを指摘した。ただ、木造復元案の問題は、それにとどまらない。 ほとんどの天守には、名古屋城のような詳細な調査資料がないのだ。いや、名古屋城が例外といった方がよい。写真等から外観が判明する天守は少なくないが、内部の構成(間取り)や木組みはわからない。他の城の例から類推するしかないのだ。これではたして、「考証的に正しい復元」といえるか、どうか。 市長が、「専門家の先生にお願いして綿密な考証を重ねてもらいました」といえば