核時代の今日、真の大国と言えるのは、核保有国のみである――。 なぜなら、核をもたない国は、国家の存続の基本を他国の核抑止力に依存するか、核保有国からの核脅威に一方的に曝され、恫喝を受ければ屈するしかないためである。 我が国は唯一の被爆国であるが、核不拡散条約(NPT)を批准し、核抑止力を米国に全面的に依存するという政策を採ってきた。 米国の拡大核抑止に依存するのであれば、その信頼性について、客観的合理的に各種要因に基づき分析検討しなければならない。このことは、わが国の安全保障の根幹に関わる、死活的に重要な課題である。 以下では、拡大核抑止の信頼性を左右する主要な要因である①理論面からみた拡大核