一般に、北条政子は「尼将軍」として知られています。『鎌倉殿の13人』の中でも、小池栄子さん演ずる政子が、少々ドヤ顔気味に「尼将軍」を名乗っていましたね。ただし、史実では政子がそう名乗っていたわけでありません。 そもそも、征夷大将軍は朝廷が任ずる武官ですから、尼の政子が任官するはずはないのです。政子が幕府内に君臨する姿を、人々が「まるで尼将軍だね」と評したにすぎません。ではなぜ、政子は「尼将軍」と呼ばれるほどの存在感をもったのでしょう? 前回、鎌倉幕府が鎌倉殿を必要とした理由を説明しました。この時期の幕府には、三寅という鎌倉殿がいるにはいましたが、いかんせんまだ幼児。鎌倉殿としての務めを果たせな