源頼朝が死去し、その嫡男・源頼家が後継となったのは、1199年のことでした。頼家は当時17歳。今で言うところの高校2年生くらいの年齢でした。思春期の真っ只中というべきでしょう。その頼家が頼朝の後を継ぐ「鎌倉殿」となった矢先の同年7月16日、1人の武士が三河国(現在の愛知県東部)に向けて旅立ちます。  その武士の名は安達景盛。景盛の父は、頼朝の伊豆流人時代から側近く仕えていた安達盛長。景盛は、その盛長と丹後内侍の間に生まれたのでした。丹後内侍は、比企尼の長女です。 比企尼とは、頼朝の乳母の1人であり、頼朝が伊豆に流されてからの約20年間、頼朝にずっと仕送りし、支援し続けてきた女性でありました。そ