社会の中に溶け込んでいる困窮者──。 筆者がこう表現するように、生活に行き詰まり、支援の手を必要としている人の存在は見えにくい。サポートする側は、こうした困窮者たちをいかに見つけ出し、つながろうとしているのか。そして、困窮者が抱える複雑な問題の一つひとつを、どう解決に導こうとしているのか。 生活困窮者支援の現場で奮闘する、神奈川県座間市生活援護課の取り組みを描いたのが『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』だ。 物語はまず、高台から見下ろす座間市の描写から始まる。似たような家が建ち並び、暗くなれば明かりが灯る。いつもの街並み。困窮者は、だが確実に、この街のどこかにいる。高台からは、その