中国の南太平洋外交は、西側国際社会が懸念していた最悪の事態を何とか避けることができた。 最悪の事態とは、中国と太平洋島嶼国10カ国とが、警務、安全保障、海事、データセキュリティなどを含む包括的な地域協力合意の草案について、5月30日にフィジーの首都スバで行われる中国・太平洋島嶼国外相会議において調印することだった。この地域協力合意の草案は、ロイターなどによって5月25日にスクープとして報じられた。だが、結果的にこの合意の調印はされず棚上げされたのだった。 こんな合意がなされた日には、南太平洋地域が事実上、中国軍事支配圏に入りかねず、太平洋地域の安全保障枠組みが大きく揺らぐところだった。特に、中