高度な防災都市を目指す

 大手町エリアでは、街区が大きく広幅道路が碁盤目に通っていることから、木造密集地域で問題とされるような建物倒壊、延焼の危険、道路閉鎖の危険性がほとんどないとされている。

 また各ビルに併設するオープンスペースは、憩いの場となるばかりでなく、防災上の貴重な空間資源になっている。災害復帰活動拠点となり、帰宅困難者の一時滞在施設、防災備蓄倉庫などの役割を果たす。

 しかし、地下街・地下道が発達しているエリアであることから、近年頻発している局地的豪雨に対する十分な備えも必要となる。従来は土嚢を積んで人海戦術で浸水を防ぐ方法を取っていたが、エリアの開発を手掛ける三菱地所は、千代田区の水害想定に基づき、建物への浸水をシャットアウトする三段階の防衛線「止水ライン」を制定。高度な安全管理システムで水害から都市を守って行く。

東日本大震災を機に環境先進地区として進化

 環境先進地区として、先端技術に導入による建物の省エネ化、再生可能エネルギーの導入など、本地区は地球環境負荷低減に努めてきた。しかし、東日本大震災後には、有事における事業継続性「Business Continuity District (BCD)構築」を目指し、電源や水は自家発電や井戸を導入し、ビル内で自立できるような仕組みを確保するなど、より強靱なエネルギー・情報・水等の基幹インフラ整備に務めている。

 ここで新規開発事例を見ていこう。今年5月に竣工予定なのが大手町2丁目地区再開発だ。

竣工間近の大手町2丁目地区再開発(2018年4月撮影)

大手町2丁目地区再開発

 現在の逓信ビル、東京国際郵便局ビル、関東郵政局の跡地には超高層の複合ビル2棟を建設。サンクン(半地下)ガーデンが整備され、魅力ある広場も形成する。

 ビルのデータセンター内では、生体認証をはじめとする高度なセキュリティなど国内最高水準の情報通信基盤が整備された。国際カンファレンス機能を強化し、大手町が国際的なビジネスセンターエリアとして認知されることに貢献する。

 また、非常用発電機など、事業継続計画機能も充実させている。

 さて、2027年に大手町に高さ日本一の複合オフィスが誕生するのはご存知だろうか。現在、常盤橋近くの開発地区で建設が始まっている。