プロトラブズの横田哲哉カスタマーサービス部部長兼企画室室長は、「当社のサービスのポイントは、納期の回答について曖昧さを取り除いたところにある」と語る。曖昧さを取り除けた理由は大きく2つ。1つは、先にも触れたように受注から出荷に至るプロセスを情報システムで一貫してサポートしており標準化していること。もう1つは、生産設備にあえて余裕を持たせたことである。

 日本法人の設立当初、国内拠点の敷地面積は約1000平米だった。今の拠点である座間では約9000平米と当初の9倍に拡大。現在、切削加工の機器は36台、射出成形の機器は13台配備している。横田氏は「注文が集中しても柔軟に対応できる生産設備を整え、見積り依頼をいただいた段階で納期を確約できるようにしている」と説明する。

プロトラブズの横田哲哉カスタマーサービス部部長兼企画室室長

 家電などの分野は市場の成熟化に従って、多品種小ロットの生産案件が増えている。また、IoT(モノのインターネット)の普及や製造技術の向上が後押しし、例えば「見守り」系の製品など、市場性の観点から実現が難しかったニッチな製品がビジネスとして成り立つ環境ができつつある。

 こうした中で焦点となっているのが、製品開発プロセスの前半における要(かなめ)、試作フェーズである。設計者は試作を通じて、狙い通りの機能、強度、使い勝手を備えた製品になっているかどうかを検証する。

 この時、設計者が試作品を素早く手にして検証できるかどうかがポイントだ。限られた開発スケジュールの中で、「見積もりに時間がかかり、試作部品調達の時期がなかなか確約できない」「予想よりも納期が延びる」となると、設計者にはストレスがかかる。ところがプロトラブズのように見積もりの回答が早く、納期に曖昧さが取り除かれているとなれば、安心して試作に取り組めるし、設計の質の向上も期待できる。

新製品の開発期間が半分になったメーカー

 色彩測定器・水質測定器メーカーの日本電色工業は、ポータブル水質計「WA-2/WA-2M」の試作品パーツの製作、そして最終製品の量産のそれぞれにプロトラブズを採用した。結果、従来の半分程度の開発期間で新製品を市場に投入できたという。短い期間の間にも筐体や内部パーツの形状について繰り返し検証でき、それが開発期間の短縮に特に寄与した。

 また、セイコーエプソンはスマートグラス機器「モベリオ」の開発段階で、プロトラブズの試作サービスを利用した。スマートグラスはユーザーの頭部に装着するため、装着時の違和感のなさが商品価値を決める重要なポイントとなる。設計者は従来なら1回だった試作品の検証回数を2回に増やせ、納得度の高い設計ができたという。