もし問題があれば、「この設計では材料の流れ方が悪くなり、必要な部分に回りきらない可能性がある」「型から押し出す際に強度上の問題が発生する」など、製造上クリアにすべき個所が表示される。

 これらの設計上の課題について、設計者はプロトラブズのカスタマーエンジニアと電子メールや電話などで相談できる。カスタマーエンジニアは顧客の設計データと自動解析の結果を見ながら、「部品の肉厚を増やす」「イジェクターピンの当て方を変更する」といった解決策を提示する。設計者はこれらのフィードバックを通じて、製造上の問題を解決していく。

プロトラブズのカスタマーサービス部門の様子。カスタマーエンジニアが電子メールや電話などで、顧客企業の設計者が持つ製造性に関する質問などに答えていく(写真提供:プロトラブズ)

 設計が確定したら、プロトラブズに対する本格的な発注作業を経て製造に入る。先にも触れたように、切削加工であれば発注してから標準3日で出荷、射出成形であれば標準10日で出荷する。

なぜ短納期を確約できるのか

 従来、設計者と試作会社の間のやり取りはアナログ的に処理されることが多かった。一般的には、設計者から試作会社に相談が持ちかけられた後、「型打ち合わせ」というミーティングをする。ここで顧客企業の設計者と試作会社の技術者が顔を合わせ、お互いに2次元の図面を見ながら、強度などの製造性の問題を検証したり、見積もりや納期を確定したりする。内容にもよるので一概には言えないが、一般的には納品まで2週間から1カ月程度と幅がある。

 試作会社が設計者の要求にすぐに反応してくれれば、プロトラブズと同じレベルの納期で対応してくれる可能性はある。だが、「人手が足りない」あるいは「製造設備の空きがない」といった理由で、常に短納期を確約できるわけではないし、後から納品まで1日、2日の遅れが生じることもままあるという。

 また、取引実績など商習慣の問題もある。仕方のないことだが、“お得意さん”である企業の設計者であれば早めに対応するし、そうでない企業は後回しになりがちだ。