暗号化したまま処理できるとなれば、機密性が高いとの理由で社内データベースに閉じ込められていたデータが、次第にクラウドに出てくるようになる。そして、そのデータから知見を得られるAIは今より賢くなっていく可能性がある。高機能暗号は世界を変えると直感し、暗号化したデータをAIに活用するセキュアAIの研究を始めました。これがEAGLYSのビジネスの原点です。

量子コンピュータでも解読困難な暗号を基幹技術に採用

――「Mynee Series(マイニーシリーズ)」と「V.I.K.I.(ヴィキ)」の大きく2種類の製品を提供しています。その違いとそれぞれの特徴を教えてください。

今林 Myneeは、米ロサンゼルスにあるIT企業のAI技術者と協力しながら、賢さのレベルにこだわって開発してきたAIエンジンの集合です。不動産や仮想通貨など変動する価格を高い精度で予測する「Mynee Price」、需要予測に用いる「Mynee Demand」、ユーザーの嗜好を詳しく解釈してレコメンドに生かす「Mynee Recommend」の3つの製品があります。新たに開発したAIエンジンが次々と加わるので、手掛けるプロジェクトの内容が多岐にわたるにつれて、Myneeのラインナップは拡充していきます。

 V.I.K.I.は、Myneeを活用した業界ソリューションです。大手不動産会社向けの価格査定エンジン、大手Webメディア向けのレコメンドエンジン、電力会社向けの電力需要予測エンジンを開発しています。

 AIは賢いだけでは使えません。すぐに応答してくれる高い性能はもちろんのこと、データの安全性を損なわないセキュリティも不可欠です。そこでV.I.K.I.では、量子コンピュータでも解読が困難と注目を集める「LWE(Learning with Errors)格子暗号」を基幹技術の一つとして使うとともに、暗号化したデータを操作する技術を開発して実装しています。製品名の「V」には、データをベールで包む「Veiled」の意味を込めました。

――賢さのレベルにこだわったAIエンジンとのことですが、従来のものとどう違うのでしょうか。

今林 レコメンドエンジンが分かりやすいかもしれません。既存のたいていのレコメンドエンジンは、ユーザーが閲覧したWebページのID(URL)を基に、傾向を解析します。IDが3番と8番のWebページを見たユーザーは7番のWebページを閲覧する傾向がある、といった具合です。しかも、ほとんどの場合、3番・7番・8番という組み合わせしか考えていない。