終わりが見えないウクライナ戦争。この戦争はウクライナを物理的に破壊しているだけではない、人々の心に癒やしがたい分断と敵意をもたらしている。 去年の10月下旬、私はウクライナ東部ドネツク州を取材していた。通訳のユーリーは、この州出身の25歳の若者で土地勘があり、取材にはとても重宝した。 州都ドネツク市がロシア軍の占領下にあるため、現在州政府はクラマトルスク市に置かれており、私はここを取材の拠点にしていた。ある日、町の繁華街を歩いていた時、ユーリーが通りの一角を指さした。「あそこに僕の大好きなカフェレストランがあったんだけど、爆撃であとかたもなく吹っ飛んでしまったんだ」 見るとそこにあるのは破れた