秋の味覚が生鮮食料品売り場を彩るシーズンの真っ最中だが、その「代表格」といえばなんといってもマツタケだろう。庶民にはおいそれと手を出せない高級品だ。 だが実はマツタケは昭和40年代前半あたりまで庶民の食卓に上ることも珍しくなかった。現在ほど高価な食材ではなかったのだ。 それがなぜ高級品になったのか? マツタケ消費の歴史を紐解き、そして一般人が知らないマツタケの謎も解明していきたい。 日本人がいつごろからマツタケを食べていたのかははっきりしていないが、三条実房の「愚昧記」や藤原定家の「明月記」には公家たちがマツタケ狩りをしている様子が記されているので、平安時代後期から鎌倉時代にはすでに食べられて