厳しさを増す安全保障環境の中で、各種のアンケート調査では、回答者の6割以上が日本の防衛力強化に賛成の立場を示している[1]。そして従来、その基盤となる防衛産業についての議論はあまり注目されてこなかったが、今回の防衛力強化の動きの中では、防衛産業側から示されている衰退への危機感に対応する形で、各種施策が打ち出されている。 2022年12月に発表された安全保障戦略三文書においては、「いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤の強化」(国家安全保障戦略)が掲げられ、新たな戦い方に必要な先端技術を防衛装備品に取り込むことの重要性や、サプライチェーンの維持強化、防衛産業への新規参入促進、契約制度の見