このところ、ロシアの動員兵がろくに訓練も受けず、必要な装備も満足に支給されないまま前線に送られ、大量の戦死者を出していると再三報じられている。 冷戦期のソ連軍の流れを汲み、世界に恐れられていたはずのロシア軍が、いったいなぜこのような無残な状況に陥っているのか。 35年間陸上自衛隊で、主として部隊の作戦運用を専門としてきた筆者の目から見て、ウラジーミル・プーチン大統領が、侵略開始時にロシア軍を従来の軍事作戦とは全く異なる方法で用いたことがそもそもの原因であると考えると、すべてに納得がいく。 神余隆博元駐独大使と筆者の共著による新刊『ウクライナ戦争の教訓と日本の安全保障』(東信堂)で詳しく解説した