安琦 王– stock.adobe.com

 前回は、製造業におけるマスカスタマイゼーションの考え方について述べた。後編となる本コラムでは個別受注型企業において個別要求に対応しつつ高い生産効率を同時実現するために、引き合い・見積もり対応から納入までの業務プロセスや、ものづくりの上での点検・改善すべきポイントを述べる。

顧客要求を見極める

 前回のコラムで述べたように、製造業にとって顧客要求に応えることは最重要課題である。だが、個別受注型企業にとっては、すべての顧客要求に対応するという姿勢は重視しつつも、生産・販売効率を実現するために顧客満足に直結する仕様と直結しない仕様を見極める分析から取り組むことをお勧めする。

 顧客要求には「顧客にとって重要度の高い、受注のための前提条件」ともいえるような強い要求から、「実は重要度は高くないが、過去の仕様を単に踏襲しているだけ」の見かけ上の要求など、さまざまな内容が存在する。

 例えば顧客が持っている生産設備に取り付けるアタッチメントのような製品であれば、その取り付け部への顧客要求は強く、企業にとっても要求に対して寸分違わず指定仕様で提供することが必要となる。しかし生産設備と接しない部位については、ある程度の寸法範囲に収まっていれば標準の利用が可能かもしれない。

 この例のように顧客要求を見極め、仕様の決定ロジックを洞察することで、顧客要求に厳格に応える部位とそうでなくても良い部位を見極めることが可能となり、製品標準化と高い生産効率を実現するための改革の着眼点が見えてくる。