18年には、米国で荷主と輸送業者をネットでマッチングする「Amazon Freight(アマゾン・フレート)」を始めた。ドライバンと呼ばれる箱型の荷台を持つトレーラー1台分の荷物を輸送するサービスで、アマゾンの車両3万台と、提携輸送業者の3万台で展開している。ウェブサイトでは集荷場所と配達場所の郵便番号、集荷日を入力すると、見積もり額が即座に表示される。

 同社はECマーケットプレイス商品の倉庫保管と配送などを代行するサービス「Fulfilled by Amazon(FBA、フルフィルド・バイ・アマゾン)」を出品者に提供している。最近はこのサービスも自社出品者以外の業者に提供している。

 消費者が米イーベイや米ウォルマートのECサイトで購入した商品の一部はアマゾンの倉庫から配送される。今では、ウォルマートで購入した商品がアマゾンの段ボール箱に入れられ、アマゾンのドライバーが配達することも珍しくないという。

アマゾンの事業成長パターンとは

 一方、アマゾンと言えば、多くが「ECの巨人」をイメージする、だが同社にはECと異なるもう1つの事業クラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」がある。今やその規模は競合となるIT(情報技術)大手を大きく上回っている。

 AWSのクラウドサービスは、もともと自社のEC向けシステムのために開発されたものだったが、同社は2006年にこれを他の企業に貸し出す事業を始めた。CNBCによると、アマゾンの元幹部であるレイチェル・グリーア氏はその理由について「余剰能力があったから」と話している。

 前述したFBAは当初、出品者の配送業務を簡素・迅速化し、顧客満足度を高めることが目的だった。その後FBAのサービス基盤が拡大し、出品者以外にも提供できる余裕ができたため、一般開放することにしたという。

 アマゾンはまず、自社の事業のためにあるプラットフォームを開発する。それが成功を収め、規模を拡大する。やがて余剰能力が生まれる。それを活用するべく外販を始める。これがアマゾンにおける事業成長のパターンなのだという。グリーア氏は、「今のアマゾンの物流事業拡大の状況は、クラウドサービス事業の拡大が始まった時期を想起させる」とし、「アマゾンのクラウドサービスはのちに業界を破壊した」と指摘した。

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