IoTには昭和・平成で「中継ぎ」だった日本が「先発投手」になるチャンスがある

スペシャリストが語る“IoTを真のイノベーションにつなげる”ための条件(後編)

森川 直樹/2019.1.10

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株式会社日本総合研究所 創発戦略センター 部長(IoTシステム推進担当) シニアスペシャリスト 木通秀樹氏

『大胆予測!IoTが生み出すモノづくり市場2025』(日刊工業新聞社刊)の共著者である、日本総合研究所の木通秀樹氏は前回、IoTが持つ真の可能性が「つながり」にあることを指摘。多くの日本企業がIoTに対して抱いている勘違いを正し、付加価値創造型のIoT(=変革型IoT)に突き進むべきだと語った。では、具体的にどのような取り組みが必要なのだろうか? さらなるメッセージをお届けする。

——前回、変革型IoTの事例としてGEやUberの話をお聞きしましたが、日本企業の事例についても教えてください。

 クボタやオプティムが進めている農業分野でのIoTも注目すべき事例です。

 農機メーカーとして世界でもトップクラスの実績を備え、日本を代表する大企業の1社であるクボタがKSAS(クボタスマートアグリシステム)と自動運転トラクターを組み合わせた事業や、インターネットおよびドローンや各種の小型ロボットを用いたIoT技術で成長中のオプティムの事業は、新たな農業の仕組みを提案しています。

 この他にも弊社と複数の企業コンソーシアムが取り組む小型汎用農業ロボット「DONKEY」のプロジェクトがあります。これは、野菜などを作る農家に小型ロボットが付き従って様々な作業の支援を行うとともに播種(種まき)から収穫までのきめ細かな作業や作物のデータを収集して分析し、そのデータを活用することでオペレーションの改善などを実行します。

 この事業の素晴らしい点は、ロボットなどの先進技術のIoT化によって、単に農作業の効率化をうたうのではなく、きめ細かなデータ活用で作物の収穫量や品質向上にも貢献するとともに、データによる信頼性を活用して作物の販売・マッチングなどの流通の革新も実現することで、農家に従来の栽培以上の付加価値を提供し、従来と明らかに異なる「IoT農業」という市場創成に取り組んでいる点です。

 しかも、広大な敷地を持つ大農場だけが得をするのではなく、日本の大多数を占める中小規模の農家にも導入できるサービスにして、農業そのものの変革と向き合っている。だからこそ、大きな反響を呼んでいるのだと考えています。