変革型IoTのとてつもない可能性に早く気付いてほしい

スペシャリストが語る“IoTを真のイノベーションにつなげる”ための条件(前編)

森川 直樹/2018.12.28

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株式会社日本総合研究所 創発戦略センター 部長(IoTシステム推進担当) シニアスペシャリスト 木通秀樹氏

 企業にデジタルトランスフォーメーション(DX)をもたらす代表的テクノロジーとして注目を集めるIoT(Internet of Things)だが、その活用の進展ぶりは企業によってまちまち。IoTそのものへの理解度においてでさえ差異が拡大し、「IoTデバイド」なる言葉もちらほら聞かれるようになってきた。そんな中、『大胆予測!IoTが生み出すモノづくり市場2025』(日刊工業新聞社刊)が話題を呼んでいる。そこで、本書の共著者であり、日本総合研究所の創発戦略センターでIoT市場をカバーするシニアスペシャリストの木通秀樹氏に話を聞いた。世界のIoT市場を把握し、日本企業のリアルを知る木通氏が投げかける具体性と問題意識に溢れたメッセージを受け止めてほしい。

「変革型IoT」のとてつもない可能性

——最初に本書のタイトルにも使われている「2025」という数字について聞かせてください。IoTに取り組む企業が目安にすべき年は2020年ではなく2025年ということなのでしょうか?

 「2025年まで何もしなくていい」という意味ではありません。むしろ、「大急ぎで取り掛かっても、あと1年ちょっとでやって来る2020年までには結果が出ないかもしれない。勝負の分かれ目は2025年が目安になるだろう」という気持ちからです。「IoTという技術や、それを用いたIoTサービスというものが、過去に例のない新しいバリューを生み出す」という未来予測は、ひと頃ほど世の中で言われなくなっています。「何かすごいことが起こるぞ」と夢を語っていた時期は、もう過ぎ去ったということ。今は「夢」を語っていれば済む時期ではなく、「実」つまり成果を出し始めていなければいけないくらいのタイミングなのだと思っています。

——裏を返せば「そうなっていないのが実状」という認識なのですね?

 いまだにIoTの本質を正しく理解できていない企業もあります。例えば「IoTは経営の効率化をもたらすツールであって、自社の新規事業の創造や製品開発とは直接の関係はない」という勘違いや、「IoTはITベンダーやセンサーメーカーにとってのチャンスであってウチとは関係ない」と考えている企業もあります。仮にしっかり理解していても「何から手を付ければよいのか分からない」という声も聞こえてくるのが実状です。