成毛眞が「アマゾンはディスラプターにあらず」と語る真意とは?

元マイクロソフト社長の成毛眞が新著『amazon』で伝えたいこと(前編)

森川 直樹/2018.11.7

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HONZ 代表/インスパイア 取締役ファウンダー 成毛 眞氏

 元マイクロソフト社長であり、投資コンサルティング会社インスパイアの設立者、そして「おすすめ本」の紹介サイト「HONZ」の代表でもある成毛眞氏の最新著書『amazon』(ダイヤモンド社)が売れている。アマゾンが展開する多様な事業の一つひとつを丁寧に取り上げ、赤字でも株価を下げない独自の経営術にも触れながら、同社を支えるテクノロジーや組織をも紐解くことで、アマゾンという企業を丸裸にした本だ。事実情報を積み重ねた上で、成毛氏ならではの分析や洞察を400ページ近い紙数で示す本書は、デジタル技術があらゆる業界の垣根を融解させようとしている昨今、全てのビジネスパーソン必読の一冊と言えよう。今回、「JBpress Digital Innovation Review」では、成毛氏本人にインタビューする機会を得た。成毛氏が「GAFA」の中で、なぜアマゾンを取り上げたのか? アマゾンのビジネスを理解することで、われわれはいかなる気づき得られるのか?

GAFAの中で群を抜くポテンシャル

「GAFA」すなわち、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社は、各分野で圧倒的なプラットフォームを築き上げた企業として認知されており、関連書籍も星の数ほどある。ましてや「デジタルイノベーション」が、ビジネス界で最もホットな潮流となっている今、元マイクロソフト社長がアマゾンを取り上げても不思議に思わない人も多いだろう。だが、やはり気になってしかたがない。なぜ、他の3社やマイクロソフトではなく、アマゾンについて書いたのか?それを最初に聞いてみた。

「私はGAFAがこの先、いずれも安泰だとは決して思っていません。アップルを支えているiPhoneは、いまだに新製品が発表されると注目されるけれども、昨年までならば発売からしばらくの間は生産が間に合わず待たされたのに、今は即納状態です。新興国では売れているのかもしれないが、少なくとも日本では以前ほどの人気ではないように感じます。もし仮にiPhoneの売れ行きが鈍り始めたりすれば、他のヒット商品はMacBookぐらいなので、今後も盤石だとは言えません。また、フェイスブックのザッカーバーグがフェイクニュースの取り扱いをめぐって米国議会に呼び出された一件は、日本ではさほど関心を持たれていないようですが、実は重大な経営問題。なぜなら欧米ユーザーにとってフェイスブックの位置付けはSNSというよりもニュースサイトであり、信用が揺らげば広告収入に直接影響を及ぼすからです。一方、グーグルは多角的に事業を進めてはいるものの、アマゾンほどの幅や奥行きのある事業展開をしてはいない。もちろん、3社とも圧倒的なアドバンテージを保持しているとは思うけれども、この先10年経っても、今と同様の繁栄を保障するような成長の余地を見いだすことは今のところできません。そんな中、アマゾンだけが多様な事業で順調に売り上げを伸ばし、領域も広げ、すでに圧倒的シェアを獲得したクラウドサービスのAWS(Amazon Web Services)を除くほぼ全ての領域で、まだまだ業績を伸ばす余地を残しています。本を書くならアマゾンしかないと思っていました」