仮想通貨以外のブロックチェーン応用例が動き出す

投票システム、宅配ボックス、電力の発電元など多岐にわたる

栗原 雅/2018.3.30

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誤配送や商品紛失を防ぐ

 ファッションビル大手パルコが2017年5月末から6月上旬にかけて、セゾン情報システムズなどと共同で実施したのが、本人認証や施錠・解錠をブロックチェーンでコントロールする宅配ボックスの実証実験である。パルコが運営するネット通販の商品受け渡しを想定したものだ。

図1 パルコ、セゾン情報システムズなどが実施したブロックチェーンの実証実験の概要(プレスリリースより)

 宅配業者などが宅配ボックスに商品を納めて施錠すると、受取人の情報がブロックチェーンに記録される。その後、記録された「本人」だけが宅配ボックスを解錠できる、という仕組みで、誤配送や盗難による商品の紛失を防ぐことができる。注文から宅配ボックスへの収納・施錠、解錠・受け渡しまで一連の処理の情報を、改ざんが困難なブロックチェーンに記録することで、取引の正確性や安全性を高めやすくなると期待している。

消費した電力の発電元を利用者が確認できる

 ブロックチェーンを活用した新たな挑戦として目を引くのは、小売電気事業者(新電力)であるみんな電力の取り組みだ。既存の手続きやビジネスにブロックチェーンを適用した上述の例と異なり、従来できなかったことをブロックチェーンで実現する。具体的には、電気に“色付け”して、再生可能エネルギーの取引に役立てようとしている。

 多くの新電力が新規の契約獲得を目指して料金競争を繰り広げる中、みんな電力は「価格競争終了宣言」を打ち出すなど異彩を放っている。同社は「日本一透明な電気料金」をうたい、電気料金の根拠となる基本料金や従量料金の内訳を、自社のWebサイトで明らかにしている。

 そんなユニークな戦略を採るみんな電力が今、急ピッチで開発を進めているのが、ブロックチェーンで仮想的に電気に色付けする電力取引プラットフォーム「ENECTION 2.0」である。

 当たり前のことだが、電力会社からオフィスや工場、家庭に届く電気に色はない。つまり、電線を通って送られてくる電気が火力発電所のものか、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー(再エネ)電源に由来するものかは、区別できない。それを区別できるようにするのがENECTION 2.0だ。

 ENECTION 2.0では、発電事業者が発電した電気の量を証明する電子証書「電気トークン」を発行する。たとえば50kWhの電気に対し、50単位分の電気トークンを発行するイメージだ。