情報漏えいに関する事件が後を絶たない。ここまで頻繁に起きると“素朴な疑問”を持つ人も多いはずだ。それは「ITが日進月歩で発展しているのにもかかわらず、なぜこれだけの事件が起こるのか」という疑問である。
情報漏えいがなくならない理由――。その最大の要因は、「システムや仕組み自体が不完全で、属人性の高い運用に頼っている」からだ。
例えば、モバイル端末を社外に持ち出す場合を考えてほしい。現在、モバイルを活用している企業では、ノート型PCのような「ファット・クライアント」を採用しているケースが多い。これについて、IIJ営業本部 マーケティング企画開発部 課長の三木 庸彰氏は次のように指摘する。
「端末内にデータ記憶領域を持ち、アプリケーションが稼働するファット・クライアントを使用する場合、必然的にデータを持ち歩くことになります。そのため、個々人がどんなに気をつけようとも、情報漏えいのリスクをゼロにすることは不可能です」
モバイル・シンクライアントの特長と“6つの効用”
モバイル・シンクライアントの利用によって期待できる削減メリット。モバイル・シンクライアントの活用によって限られたリソースを最大限に活用することができる。
(図はクリックで拡大表示できます)
こうしたことから、注目を集めているのが「モバイル・シンクライアント」である。シンクライアント端末をモバイル端末として活用することによって、これまでの課題を解決し、さまざまなメリットを得られる。
第1に、「情報漏えいのリスクがほぼゼロになる」。シンクライアント端末は、データを記憶する領域が存在しないため、万一端末を紛失したとしても、そこから情報を盗まれたりすることがないのである。
第2に、「セキュリティにかかわるコストをはじめ、TCO
(※1)
TCO:コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額をいう。
を削減できる」。まず、情報漏えいのリスクがなくなるため、対策費用が発生しない。2007年には大手エステティックサロンの情報漏えい問題で、原告に対し、1人当たり3万5000円という過去最高の賠償額が命じられた件は、まだ記憶に新しいだろう。この問題で流出した個人情報はおよそ5万人分ともいわれ、その賠償リスクは計り知れない。このように個人情報が流出すれば顧客への補償、謝罪などに膨大なコストがかかることも珍しくなく、先に述べた2007年には、こうした情報漏えいにまつわる想定損害賠償総額が、2兆円の大台を超えるとの報告も行われたほどだ(※)。これに対し、三木氏は「モバイル・シンクライアントならば、こうしたコストへの心配がなくなります」と力強く語る。
そして第3に、「場所を選ばず、いつも同じ環境で仕事を継続できる」。シンクライアントシステムでは、データセンターや社内のイントラネット内にあるデータを、シンクライアント端末から呼び出す。そのため、いつでもどこからでも、最新のデータにアクセスし、仕事ができる環境を、安心・安全に構築できる。それにより、営業部門をはじめとした外出の多い担当者の利便性を高め、限られた人的リソースを最大限に活用することが可能になるのだ。
(※)日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA) 「2007年度 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」(速報版)による
このように、さまざまなメリットが期待できるモバイル・シンクライアントだが、なぜこれまで普及しなかったのだろうか。それは、モバイル・シンクライアントが高価な上、通信速度が悪いとレスポンスが遅く、仕事にならないからだ。
これに対し、IIJでは、PCメーカーとの協業により、シンクライアント端末の低価格化を実現。3G/HSDPA
(※2)
HSDPA:下り(Down:基地局→端末)方向のパケット通信速度を向上させる技術で、第3世代携帯電話(3G)の改良版であることから、3.5世代携帯(3.5G)とも呼ばれる。また、その通信速度は従来の5倍以上を実現する。
網を利用した最大7.2Mbpsの高速インターネット接続環境と、高性能かつコストパフォーマンスの高いノート型シンクライアントを組み合わせることで、従来の課題を払拭したソリューションの提供を開始している。
さらに、IIJ自身が“MVNO”であるため、シンクライアントの導入に伴うさまざまな煩雑な作業を、ワンストップで提案・提供できる点も大きな強みだ。
モバイル・シンクライアントは確かに便利だが、考慮すべき範囲は多岐にわたる。シンクライアント端末は単なる表示端末となるため、通信環境も含めた最適化を検討しなくてはならない。もちろん、個々のクライアントからシンクライアントシステムへのデータの移行、WAN/LANの提供やアクセス回線、さらにはセキュリティに関するアウトソーシングまで、各社のニーズや予算によって選択肢は異なってくる。それをIIJならば一括して、提案・構築することが可能なのだ。
「モバイル環境で利用するモバイル・シンクライアントには、快適で、かつセキュリティが確保された通信環境は必須です。その点、当社では、高速なモバイルデータ通信とセキュリティの確保を両立した、ビジネスユースに最適なモバイルソリューションも提供しており、データ通信カードを含めた通信サービス、シンクライアント端末をワンストップで提供することが可能です」と三木氏は強調する。単なる端末の提供や構築だけでなく、通信環境やサービス、運用までを一体化して提供する。このユニークな事業モデルこそがIIJの特長であり、強みなのだといえるだろう。
「当社を窓口に、モバイル・シンクライアントに関するすべての作業を一括してお任せいただけるため、低コストかつスムーズな構築が可能です。また、導入に関するコンサルティングも行っていますので、まずはお気軽に相談してください」と三木氏。
低コスト・高セキュリティのリモートアクセス環境を実現する、新しい「モバイル・シンクライアント・ソリューション」。今後のモバイル活用を考える上で、大きな選択肢のひとつとなりそうだ。
※1
TCO
:コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額をいう。
※2
HSDPA
:下り(Down:基地局→端末)方向のパケット通信速度を向上させる技術で、第3世代携帯電話(3G)の改良版であることから、3.5世代携帯(3.5G)とも呼ばれる。また、その通信速度は従来の5倍以上を実現する。
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