ダイナミズムを取り戻せ―2つの出会いが低迷する営業部を復活させた 業務用資材の製造販売を手掛ける気合多工業(仮名)は、中国の競合メーカーの登場などによって、売上減少に苦しんでいた。同社の営業部長である川田俊介は、藁をもつかむ思いで営業改革に強いコンサルタントに相談する。<br>そこで想像もしていなかった解決策が提示された。この物語は追い詰められた営業部隊が復活の道を歩み始めるまでを描いた架空のサクセスストーリーである。ダイナミズムを取り戻せ―2つの出会いが低迷する営業部を復活させた

業務用資材の製造販売を手掛ける気合多工業(仮名)は、中国の競合メーカーの登場などによって、売上減少に苦しんでいた。同社の営業部長である川田俊介は、藁をもつかむ思いで営業改革に強いコンサルタントに相談する。
そこで想像もしていなかった解決策が提示された。この物語は追い詰められた営業部隊が復活の道を歩み始めるまでを描いた架空のサクセスストーリーである。

後編

もうひとつの出会い

 ワークショップは横浜郊外のセミナーハウスで1泊2日で開催された。参加者は川田のほかに営業マン5名。ファシリテータは松井が務めた。今回の目的は事前期待を洗い出してパターン化して、続いて営業プロセスをモデル化することだ。当初戸惑っていた営業マンたちも松井の話を聞くうちに、営業をサービスとして捉え、科学することの意義がわかってきたようだ。意見もどんどん出るようになった。

 「お話を伺っていると、お客様の事前期待のタイプを分類する軸は、3本あるようです。1つ目が予算感。“納得できれば高くてもよい”か“できるだけ安くしたい”かです。2つ目が “色々相談したい”か“指示通り動いてくれれば良い”。この2本が上下左右を分ける大きな軸になります。加えて3本目の軸が存在します。“人情派”か“ドライ”かです。これをベースに分析を進めませんか」

お客様の事前期待のタイプ分類

程よいタイミングで松井が場を仕切っていく。
 実際にこの3つの軸をベースに顧客のタイプを定義していくと課題が見えてきた。川田の時代には左上のDタイプが多く、営業はまさに足で稼いできた。しかし、現状ではDタイプは極めて少なく、一方で左下のCタイプが増えている。結果として薄利多売になり、頑張っても大きな数字が作れずに、現場は疲労困憊の極みに陥っていた。
 (これではモチベーションが下がるのは当然だ。だから目標未達が続くという負のスパイラルに陥っていた。それが分からなかった自分の責任は大きい)と川田は自分の瑕疵を認めざる得なかった。

 しかし、希望もあった。右上の一角にあるAタイプと右下のBタイプの顧客が少しずつ増えていることだ。入社10年目のベテラン営業マンの柿沼正は実はそこで売上数字を作っていた。目からウロコだったのは、Bタイプの顧客の相談に親身に乗ることで、“できるだけ安く済ませたい”という期待が除々に“納得できれば高くても良い”に変えることができることだ。これが柿沼の刀(ノウハウ)だったのだ。川田とは営業スタイルが違うだけに、反目することも多かったが、こうして冷静に分析すると、柿沼の営業アプローチも認めざるを得ない。

 ワークショップの後半は、それぞれのタイプに効果的な営業プロセスをモデル化するための議論をした。松井の言うサービスの設計を行うステップだった。事前期待が明確になることで、営業プロセスでの努力のポイントがはっきりした。例えば、安くて指示通りの対応を求めるCタイプは、大切な顧客だが、薄利多売で現場が疲弊する原因でもある。しかも、頻繁な訪問をお客様は迷惑がっていることも明らかになった。そこで、対応は営業アシスタントが電話やメールで行い、わざわざお客様に対面で対応頂かなくて済むという流れにした。
 「松井さん、これで課題だけでなく、対応策まではっきりしました。ありがとうございます。メンバーもやる気になってくれています」
 「営業改革は計画をして終わりではありませんよ。むしろここからがスタートです。次のステップは実践と教育です。そのためには、お客様のタイプごとの営業プロセスモデルがスムーズに実践されるような受け皿が必要です。それがCRMなんです。皆さんの営業改革の推進のためには、例えば日本マイクロソフトのDynamicsが良いのではと思います。検討してみたらいかがですか」

 実際に、松井に推薦されたDynamicsを調べてみて、川田は驚いた。以前のCRMツールとは使い勝手が全く違う。Officeのような使いやすさと、使いながらファイルや設定変更ができる柔軟さもある。

※業務で使っている「Outlook」からDynamics CRMの主要機能へ簡単にアクセスできる。
Outlook上で扱っている「メール」「連絡先」「予定表」といったデータと、CRMデータの同期、連携も可能。

 しかも、Officeとの連携の良さは抜群で、情報共有ツールやBIツールと連動させて、より幅広い情報共有や高度な分析を、Dynamicsを中心に取り組むこともできる。(小さく初めて、大きく使える)と川田は思った。

 【左図】Power BI サイト上で常に最新の分析結果をチームに共有し、すぐにアクションに結び付けることが可能
【右図】Power Q&A を用いることで突然の質問に対してもAd-hoc な分析が可能となり、経営会議やチーム内の討議をよりインタラクティブに

 「藤本、柿沼と組んでDynamicsの導入を検討して欲しい。30日間の無料トライアルもあるようだ。この前議論したタイプごとの営業プロセスをシステムで支援できるかどうかをはっきりさせたい。情報システム部には私の方から話を通しておく。仕事が増えて大変だと思うけど、やってもらえるかな」
 「勿論です。是非、やらせてください。営業部が盛り上がってくれれば、こんなに嬉しいことはありませんから」
 その日から柿沼と藤本のDynamics検討プロジェクトが始まった。
 まずテンプレートを活用して、標準的な営業プロセスと顧客情報を設定した。

※次のアクションをガイドし、要所でのレビューをルーチン化して商談成約率を高めることが可能。
代替製品やセルアップ製品を提示し、売上の最大化と機会損失の最小化を図る

問題なのはサービスサイエンスの考え方を反映することができるかだ。例えば、ドライなお客様に対しては、スピーディかつ柔軟な提案ができるようにプロセスを設定し、人情派にはきめ細かく相談に乗るプロセスを追加したい。それが簡単にできるかどうか。

 しかし、結論は、わずか数日で出た。ワークショップでの成果を早く実践したいという柿沼と藤本の想いが、検討作業を加速させたようだ。夜遅くまで確認作業をしたはずの藤本の顔に疲れは見えない。
 「部長、Dynamicsなら思い通りのことが実現できそうです。タイプ別の営業プロセスへの切り替えも設定できますし、新しいプロセスを追加することも簡単です。しかも、営業プロセスの中に、他のメンバーへの相談のステップを埋め込んだり、お客様への電話をスケジュールに沿って促す仕組みも作ることもできます」
 「業務プロセスを共有するという目的は果たせそうなのか」

※案件に関連する資料をチーム内で共有することで素早く情報にアクセス可能。また共同編集することで効率アップ。

「それは勿論です。営業はDynamicsが提示してくれるアクションを実行することで、事前期待に沿った営業プロセスが行えますし、同時に、商談の進行状況や顧客情報はリアルタイムに共有されます。外出先や移動中にスマートフォンやタブレットから簡単に入力できるのも便利ですね!しかもアフターサービスのスタッフにワンクリックで情報を流せるんです。これなら営業部内だけでなく、全社と情報を共有することもできますね」

※スマートフォンやタブレットからもストレスなくアクセス可能

「よし、Dynamicsで行こう」
 手応えを感じていた川田は事前に社長からの了解を取り付けていた。改革への第一歩は早ければ早い方が良い。想いはメンバーたちと同じだ。Dynamicsの導入が決まった瞬間だった。

 Dynamicsが導入されて2か月後に、早速効果が出た。なんと7四半期ぶりに営業目標が達成されたのである。ドライで価格を追求するお客様には、営業アシスタントが電話をして、見積もりから納品までをフォローし、営業マンは呼ばれた時だけ訪問する。一方で、相談したい人情派のお客様には、その分時間を使って満足度の高い営業サービスが提供できるようになった。こうしたダイナミズムが好業績につながっている。
 「今日もやっているな」

 川田は笑顔を浮かべながらDynamicsの画面に見入った。そこでは柿沼と藤本が業務プロセスの内容についてインスタントメッセージで意見を交わしている。たまに他のメンバーも口を挟んでいる。川田も自分なりの意見を書き込んだ。明日には、また新しい業務プロセスが組み込まれているはずだ。こうして使いながら進化していくところが、Dynamicsの真骨頂だ。(次の世代を担う人材のつながりまで生まれている)と川田はここでもダイナミズムを感じた。
 午後になって、久しぶりに松井が訪ねてきた。

「松井さんとDynamicsのお蔭で、営業部の動きにダイナミズムが出てきました。ありがとうございます」
 「駄洒落ですか。かなり無理がありますね。でもダイナミズムが出てきたのは、何よりです。営業改革やCRMを絵に描いた餅にしないためには、本業で目に見える成果が上がっていくことが、何よりのインセンティブなんです。いい感じですね。ところで、もうすぐ4月ですが、営業部に新入社員は配属されるんですか」

 「2年ぶりに一人配属されます。すぐに戦力になるわけではないですが、営業部にとっては嬉しいニュースです」
「それは良かった。結構すぐに戦力になるかも知れませんよ」
「どういう意味ですか」
「サービスサイエンスは設計と教育と申し上げたじゃありませんか。CRMは教育を実践していくためのツールでもあるんです。すでにプロセスは設計され、Dynamicsに実装されています。新入社員でもDynamicsを活用すれば、相当のことができると思いますよ。それもCRMの価値なんです」
(もうすぐ4月。また新しい一歩が踏み出せそうだ)松井が去った後、川田は思わずほくそ笑んだ。

ダイナミズムを取り戻せ―2つの出会いが低迷する営業部を復活させた 前編はこちらから

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