【クレディ・スイスの歴史
- アルフレッド・エッシャーが築いた現在へと続くレール】

 1978年にはファースト・ボストン・コーポレーションと提携(1988年に買収)した。ファースト・ボストン・コーポレーションは、ザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストンの投資銀行部門として1932年に設立された投資銀行で、この会社は米国初の公開証券会社だった。ファースト・ボストンは、早くから日本に参入した外国系金融機関としても知られ、1959年の日本政府による戦後初の国債の海外起債で単独引受幹事を務めるなど、伝統と実績ある投資銀行だった。クレディ・スイスは、このファースト・ボストンを買収してインベストメント・バンクとしての事業基盤を大幅に強化することに成功するとともに、1990年代にはスイスのプライベート・バンクであるロイ銀行、フォルクス銀行、ノイエ・アルガウア銀行などを立て続けに買収し、プライベート・バンキング部門の強化も実現した。
 1996年にクレディ・スイス・グループが誕生。2006年には設立150周年を迎え、インベストメント・バンキング、プライベート・バンキング、アセット・マネジメント部門を統合し、現在のクレディ・スイスが発足した。アルフレッド・エッシャーがチューリッヒに設立して150年で、恐らく彼も想像しなかったであろう規模に発展したクレディ・スイス。今日のスイスを築き上げたエッシャーの功績を称えるものとして、チューリッヒ駅には大きな銅像が置かれている。