「歌舞伎を観るのは時間がかかるのがネック。休憩を挟んで約3時間~3時間半くらいかかるので、忙しい時には一幕見(ひとまくみ)が便利ですね」と語るのは、歌舞伎を観続けて40年近くになる岸本美子さん。数年前に起業して12月は特に忙しいという彼女のように、“一幕見”は通が利用するやり方のようだ。「江戸時代の歌舞伎は、朝早いうちから行って、夜まで観る一日がかりだったといいます。『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』『義経千本桜』といった名作も、“通し(とおし)”といって全幕を上演すると、とても現代の上演時間ではおさまりません」 そこで、今では、