当連載でたびたび書いてきたように、知られざる歴史人物の生き様に触れられるのが、NHK大河ドラマを鑑賞する醍醐味の一つである。合わせて、大河ドラマをきっかけに、歴史的な事件についても理解を深められる。 例えば『光る君へ』では、父の藤原兼家に命じられた道兼が実行役となり、花山天皇を出家させた「寛和の変(かんなのへん)」について、放送時間を割いて事件の背景から詳しい経緯まで丁寧に描いている。 今回の放送でも、ある事件の背景と、それに対して時の権力者である道長がどんな対応をしたかが描写されていた。 それは寛弘3(1006)年、興福寺の僧が朝廷に押し寄せて、自分たちの主張を強弁するという騒動である。ドラ