今月に入ってからの2回のコラムを通じて議論したように、筆者は事が起きてから円キャリー取引の残高を争点として議論を展開し、それが円安の主因だったかのように語る風潮には賛同できない。 半ば独り歩きしている「600兆円」という残高は過去2年半の円安局面においてほとんど使われてこなかった数字であり、この巻き戻しでドル/円相場が元の水準(円安の起点は2022年3月の113円付近)に引き戻されるかのような議論は唐突感を覚える。 もっとも、「皆がそう思うことはそうなる」という市場の特性を尊重し、円キャリー取引が2022年3月以降の円安局面を主導してきたとしよう。 この点、多くの市場参加者が円キャリー取引の代