私はよく横須賀から遊漁船に乗ってタイ釣りをした。揺れる舳先に座りぼんやりと竿先を見つめていると、波を搔き分けて進んで来る灰色の護衛艦が見えたものだ。護衛艦のたてる波に釣り船は思いのほか揺らされ、立っているのがやっとという状態だ。 さらにタンカー、貨物船、潜水艦なども次々にやって来る。釣り船はその間隙を縫ってみずすましの様に右往左往する。この東京湾の浦賀水道は、海上交通の要所でもあったが、ひとつ間違うと衝突事故という超危険な海域でもあった。 そして事故は起きた。1988年7月23日、横須賀港の3キロ沖で海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と遊漁船「第一富士丸」が衝突したのだ。「第一富士丸」は沈没し、乗
【犠牲者30名】38年前に東京湾で起きた潜水艦と釣り船の衝突事故、海自トップが発したあまりに冷酷な言葉
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