執拗な円安相場が続く中、「ドル/円相場のフェアバリューはどこにあるのか」「どの程度であれば、日本経済にとって心地良い水準と言えるのか」といった、ある種の「正解」を求める問い合わせが急増している。 しかし、為替市場はフェアバリューがない世界であり、こうした問い合わせに対して筆者が用意できる回答は、せいぜい内外物価格差から導出される購買力平価(PPP)をどう考えるかという議論だけだ。 昨年来、筆者はドル/円相場の実勢と購買力平価(PPP)の乖離が非常に大きくなっているという事実に関し、「正しいのは実勢相場であり、PPPが今後円安方向に調整されてくるはず」といった主張を展開してきた。 現状、実勢相場