1993年、日本を代表する謎多き知識人、井筒俊彦が亡くなった。30カ国語を操り様々な学問を学び、それらをつなぎ合わせて巨大な思想を生み出した規格外の知の巨人は、イラン王立哲学アカデミーでも教鞭を取り、神秘主義に関わる世界各地の知の巨頭が集うエラノス会議にも鈴木大拙に続く2人目の日本人として招待された。 そのあまりにも深く広大な世界観によって、今も知識人や芸術家たちを魅了してやまない井筒俊彦とは何だったのか。『井筒俊彦 起源の哲学』(慶應義塾大学出版会)を上梓した文芸評論家の安藤礼二氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ここで言う「言葉」とは、日常的に使われる意味を伝達する手段と