私の手元に、服部良一作品を収録した古い3枚組CDがあります。『服部良一─僕の音楽人生─』と題された、平成元年(1989)1月に発売された愛聴盤です。 服部が生涯に残した作品が3000曲以上とされる中で、このCDに収録されている全63曲というのはごく一部でしかありませんが、そのうち62曲が服部良一自身の編曲となっています。 服部自身が編曲していない曲というのは、CDの最後に収録されている『あじさい旅情』(編曲・佐伯亮、歌・島倉千代子)で、すでに歌謡界が筒美京平の時代となっていた昭和48年(1973)の作品なので、ヒット曲を量産していた昭和30年代までの服部歌謡はほとんど自らが編曲を手掛けています