25歳。社会人3年目のドラフトで嘉陽宗一郎を指名してくる球団はなかった。 そこで「もう1年、指名を待つ」という選択をする者もいるだろう。むしろそちらのほうが多いのかもしれない。これまで、二十代後半になっても「行けるならプロに行きたい」と言う選手を何人も見てきた。だが、嘉陽はそれをしなかった。「それは周りからも言われましたね。『来年、もう一度目指してみたら』と。でも、あの年は9月の予選で結果を出して、僕自身『これはプロ行けるわ』って、正直思ったんです。それだけの手応えのあるボールを投げていた。それでも結果として行けなかった。『これで無理なんだから、俺はプロは無理なんやな』と、そこでひとつ踏ん切り