われわれは、年金といえば、政府が老後の生活を支えてくれる制度のことだと漠然とイメージするだろう。わが国だけではなく、世界各地でも、就労を終えた人々に年金が給付される仕組みが出来上がっているからだ。 老後の生活の糧を得るのは現代に限るものではなく、人類が誕生して以来、大きな関心事であり続けている。年金の歴史は、人類の歴史と言ってもよく、古くて新しいテーマであると言えるわけだ。 この経緯をうまくまとめた書籍として、右谷亮次氏の『企業年金の歴史』(企業年金研究所、1993年)がある。同書の冒頭は、次の言葉から始まる。「年金の歴史は失敗の歴史である」 実に刺激的なフレーズと言えまいか。右谷氏は、「年金