本書では、さまざまなシステムについて、それがどのように破綻するか、どうすれば強靱になるかを理解しようとするときに、ハッキング的な考え方が有効だと伝えることをめざしている。「ハック」とは、想定を超えた巧妙なやり方でシステムを利用して、システムの規則や規範の裏をかき、そのシステムの影響を受ける他者に犠牲を強いることだ。 私の考えでは、コンピューターシステムに対するハッキングから、経済、政治、社会の各システムに対するハッキングまでは、ほんの一歩の差しかない。どのシステムも、規則の集まり、ときには規範の集まりにすぎないからである。コンピューターと同様、ハッキングに対しては脆弱なのだ。 ハッキングは、シ