西館勇陽には、最速155キロという数字上の球速だけでなく、「今年の大学生の中で一番“質の良い球”を投げる投手」という評価が聞こえてくる。だが、それをデータ的に実証することはなかなか難しいという。こんな興味深いエピソードを耳にした。 投手の「球質」研究のスペシャリストで、『球速の正体』(東洋館出版)などの著書がある林卓史氏(朝日大学教授)は、以前、中大の清水達也監督から依頼を受け、中大の投手たちの球質測定を行ったことがある。近年野球界に普及している「ラプソード」という、投手の球速だけでなくボールの回転数や回転軸、変化量、打者なら打球速度や角度といった、投球や打球の“質”を測定する計測機器がある。