5月26日に財務省が公表した「本邦対外資産負債残高の状況(2022年末時点)」。毎年、この統計で確認される「世界最大の対外純資産国」というステータスが「安全資産としての円」のよりどころになっているのは、ある程度間違いない。 昨年来、「弱い円」ひいては円の信認という論点に注目が集まっていることを思えば、これを詳しく分析する価値は決して小さくないだろう。結論から言えば、その中身を見るほど、脆弱性を増している近年の円相場の実情が透けて見える。 具体的に数字に目をやると、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高は、前年比7204億円増の418兆6285億円と5年連続で増加し