本年10月27日、バイデン米政権は、国防省から国家防衛戦略(NDS)を発表した。2018年にトランプ政権がNDSを発表して以来約5年振り、バイデン政権としては初めてとなる。10月12日に発表された国家安全保障戦略(NSS)を支え、国防省の優先任務や戦略環境等を記載する文書である。 新たなNDSは、バイデン政権が掲げる抑止コンセプトである「統合抑止」、すなわち、米軍・国防省だけではなく、米政府他機関や同盟国等との協力を統合して抑止力を高めていくという方針に沿って、同盟国等との協力強化を記述した節を設けた。その節で初めに登場する地域はインド太平洋地域、その次が欧州である。そして、インド太平洋地域の