皮肉だった。原発事故という愚行によって人間は姿を消し、代わりに自然がのびのびと羽を伸ばしていた。自然も放射能も、人間のコントロールを超えている。そんな巨大なものの前に私は一人で立っていた。放射性物質で汚染された無人の街で、私は自分がひどく無力で小さな存在に思えた。