金は無味乾燥な経済論議の中にあって、いつも神秘的である。その怪しい輝きは人類が最も古くから崇めてきた価値の表象であり、幾多の悲劇と喜劇を織りなす糸として、連綿と続いてきた。ことに合理性が貫かれるはずの現代資本主義経済にあって、前史から持ち越された金という不思議な金属の持つ神秘性は、我々を幻惑させる。