イノベーションの担い手になるような起業家人材は教育によって育てられる――。前回の記事でこう述べ、実際の起業事例をいくつか紹介した。今回は、どのような教育が人材育成に役立つのか、意欲の醸成や手法の体得など多面的な観点から体系立てた教育プログラム「WASEDA-EDGE人材育成プログラム」の内容をみていく。

(バックナンバー)
価値創出のカギを握る「起業家人材」を育てるには――イノベーションの担い手育成の勘所(1)

 WASEDA-EDGE人材育成プログラムでは、全学の学部生、院生が履修可能な科目群であるビジネス・クリエーションコースをグローバルエデュケーションセンターに設けている。これは大きく3つのステージで構成する。

 Stage1は、「意識醸成」。ビジネスや研究成果の事業化への関心が低く、視野にも入れていなかった学生や若手研究者が、起業や事業化への意欲を掻き立てられるよう、文字通り起業家精神を育む。

 Stage2は、「アイデア創造」である。ビジネス設計のフレームワークや制約を学び、単なる思いつきを超えた“実践的なアイデアを創出する方法”について学ぶ。

 そしてStage3が、「ビジネスモデル仮説検証」だ。『ビジネスモデルキャンバス』と『リーンスタートアップ』という新規事業の立ち上げの新定番理論を実践的に学ぶとともに、単にビジネスプランを作成するだけにとどまらず、いかにしてプランを実現していくのかを、演習を通して学ぶ。そうすることで、起業のための手法を現実に使える“武器”として、一人ひとりのモノにする。