気象予測システムでは、前述した1kmメッシュの予測モデルが動いており、全国約1万3000地点に広がるウェザーニューズ独自の気象観測網のデータ、サービス会員の実況報告データ、過去の気象データなどを基に、5分ごとに天気予報を更新している。そして、この天気予報とWxBeacon2で観測したデータを組み合わせ、作業現場の気象変化をピンポイントで予測し、必要に応じてアラートを発する。

図 ピンポイントの気象予測とアラート発信の仕組み(ウェザーニューズ提供)

 屋外作業者は携帯するスマートフォンとWxBeacon2を、近距離無線通信技術「Bluetooth」で接続しておく。するとスマートフォンに搭載した専用アプリがWxBeacon2から観測データを5分ごとに取り込み、インターネット経由でウェザーニューズの気象予測システムに自動送信する。

 例えば、WxBeacon2の観測データから急激な気圧の低下などゲリラ豪雨や雷の急接近を検知すると、屋外作業者のスマートフォンにアラートを自動送信し、専用アプリの画面に「30分後にゲリラ豪雨が来ます」といった気象リスクの内容を表示する。また、天気予報とWxBeacon2の観測データを対比し、予報を上回る状態で気温や湿度が推移した場合にアラートを送り、熱中症への注意を促す。

 安全管理者は事務所に設置したパソコンの画面上で、気象アラートの送信状況と、屋外作業者がアラートを確認したかどうかを確認できる。これにより安全管理者は複数の現場の気象リスクを一元的に把握するだけでなく、気象リスクに対する屋外作業者の対応の遅れを防げる。

 スマートフォンへのアラート発信の仕組みや、管理者向け画面はKDDIが提供する。実証実験には、携帯電話の基地局のメンテナンスなどを手掛けるメディアクリエイトコミュニケーションズが協力し、屋外の高所作業における新サービスの有効性を検証すると同時に機能改善を図り、早期の実用化を目指す。