典型例が、1時間当たりの降水量が50mm以上になるゲリラ豪雨の発生件数だ。気象庁の調べでは、2007年から10年間の平均年間発生件数は232回あまり。1976年から1985年の10年間と比べ、約1.3倍に増えた。数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測した場合などに気象庁が災害への強い警戒を呼び掛ける「記録的短時間大雨情報」も、しばしば耳にするようになった。

 ゲリラ豪雨による足場や視界の悪化、高所での突風など、急激に悪くなる天候を読み誤ったり対応が遅れたりすれば、人命が危険にさらされる。そのため屋外作業の現場では、安全管理者や作業者自身が市区町村単位の天候や気温の予報、注意報に気を配っている。だが、実際に「その場」に迫りくる気象リスクを正確に把握するための「現場単位の細かい気象情報武装はまだ十分ではない」(ウェザーニューズの石橋執行役員)。

 市区町村単位の天気予報と作業現場の気象は、往々にしてズレが生じる。広域の予報より早く強い雨が降り始めることもあれば、予報より風が弱くなることもある。風通しが悪い作業現場で風が弱まると、局所的に高温多湿になり熱中症のリスクが高まることもある。新サービスはこうしたズレを見逃さず、屋外作業者へタイムリーに気象リスクを知らせて作業現場の安全を確保する。

気象センサーの観測データを気象予測システムにスマホで送信

ウェザーニューズの小型気象センサー「WxBeacon2」

 ピンポイントの気象予測に用いるのは、オムロンの協力を得て開発した小型気象センサー「WxBeacon2」である。気温、湿度、気圧、明るさ、紫外線、騒音のセンサーを内蔵し、1分ごとに6種類のデータを自動で観測する。身につけても屋外作業の妨げにならないよう、きょう体のサイズは縦46×横39×厚さ14.6mmと小型に設計するとともに、重さを16グラム(コイン型電池を含む)にとどめた。