「提供予定の株取引アプリを見たらきっと驚くと思います」と自信を見せるFinatextの林良太代表取締役CEO

「目下の目標は、証券サービス向けプラットフォームでナンバーワンになること。ベンチャーの中で1番ではなく、業界のトップです」

 こう話すのは、2014年にFinatext(フィナテキスト)を創業した林良太氏である。大手証券会社の株取引システムと連携し、証券サービスアプリを開発・運用できるシステム基盤「BaaS(Brokerage as a Service)」を武器に、間もなく証券業に乗り出す。

 Finatextは、金融とITを融合させた「フィンテック」の分野で注目のベンチャーである。ユーザーが株価を予想するスマートフォン向けコミュニティアプリ「あすかぶ!」を2014年11月にリリースしたのを皮切りに、矢継ぎ早に新サービスを打ち出してきた。ユーザー同士が意見交換しながらFX(外国為替証拠金取引)を疑似体験できる「かるFX」や、ユーザーの口コミを参考に投資信託を選べる「FUNDECT」など、これまでにリリースした5種類のアプリのユーザーは200万人を超える。

 Finatextの事業活動は、日本国内にとどまらない。すでに台湾で「あすかぶ!」を提供しており、現地で2番目に大きな個人投資家のコミュニティを形成するほど受け入れられている。2017年1月にはマレーシアのクアラルンプールに現地法人を設立し、マレーシア株を対象に「あすかぶ!」を展開。さらに今年、英国でFXと仮想通貨の取引サービスを開始する計画である。

 従来のように1社でサービス全体を提供するという限界の見えてきている方法に代わり、システム基盤BaaSは、業界の枠を超えたコラボレーションで新たなサービスを創出するための、これまでにない新しい仕組みだ。「必要があれば新しい銀行も作りたい」と語る林氏に、「金融サービスの再発明」を実現するための方策と展望を聞いた。

SNSのタイムラインからダイレクトに株式を売買

――証券業に参入するそうですが、その狙いを教えてください。

林良太氏(以下、敬称略) ご存知のとおり、フィンテックによって今、世界中で金融のサービス革命が起きつつあります。こうした動きの中で、当社は金融サービスを再発明しようと「あすかぶ!」や「かるFX」など複数のモバイルアプリを開発しリリースしてきました。証券業への参入も、金融サービス再発明の一環です。

 2017年12月にFinatextの子会社スマートプラスが第一種金融商品取引業者への登録を完了したのを受け、このほど株取引アプリ「STREAM(ストリーム)」の事前登録の受け付けをWebサイトで開始したところです。アプリはまだ公開前ですが、見たらきっと驚くと思いますよ。

――オンライン証券会社のスマートフォンアプリとは違うんでしょうか?

 簡単に言うと、STREAMは「SNS with Trading」アプリです。ツイッターに株の売買ボタンがついているイメージで、アプリ画面に表示されるタイムラインを見ながら、興味がある株を簡単に購入できます。株価チャートを確認することも可能ですが、おまけのような位置づけです。