米アマゾン・ドット・コムは計画中の百貨店でアパレル商品の販売に力を入れると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
ハイテク試着室を導入
同社はこれまで書店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの実店舗を展開してきた。アパレル商品は自社のプライベートブランド(PB)を立ち上げるなどして販売強化を図ってきたが、新展開の百貨店ではネット通販の衣料品購入に関する不便な点を補う。ブランド認知度向上が可能かどうかを調査する狙いもあるという。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは2022年にも米国内で、アパレルの自社PB商品を中心に販売する百貨店をオープンする可能性がある。売り場にはハイテクを駆使した試着室を用意。顧客がスマートフォンアプリで商品タグのQRコードをスキャンすると、店員が試着室に届ける。試着室内の大型画面には、顧客が選んだ商品に基づき他の商品を推奨する機能などが設けられると、事情に詳しい関係者は話している。ゆくゆくはロボットなどのオートメーション技術も導入する可能性があるという。
これに先立つ21年8月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、アマゾンが米国で百貨店のような運営形態の大規模小売店を複数出店する計画だと報じた。場所は、米オハイオ州や米カリフォルニア州。店舗面積は約2800平方メートルで、一般的な百貨店の3分の1ほどだが、アマゾンが現在運営する他の実店舗よりも広いという。
米最大の衣料品小売業者
こうした中、同社は衣料品分野で業績を伸ばしている。米銀大手のウェルズ・ファーゴによると、アマゾンは今年、米ウォルマートを抜き米国最大の衣料品小売業者になった。20年の衣料品と靴を合わせた販売総額は前年比15%増の410億ドル(約4兆5400億円)だった。
21年は同約10%増の450億ドル(約4兆9800億円)超になるとウェルズ・ファーゴはみている(米マーケットウォッチの記事)。