勝山恵一は京都で生まれ育った。彼の地元は貧困層の多いエリアで、小学校の頃の友達は、その多くが母子家庭か、児童養護施設の子どもだった。勝山自身も、幼い頃に両親が離婚している。 環境がすべてではないが、所属しているコミュニティが子どもに与える影響は大きい。小学生だった勝山の周囲には特攻服を着た暴走族のメンバーや、バイクの窃盗に手を染める10代の若者が大勢いた。 そんな先輩に憧れた勝山も、中学生になると同じようにタバコを吸い、盗んだバイクを乗り回した。「それが、かっこいいことだと思っていた」。そう勝山は振り返る。 暴力も身近にあった。小学校の頃、学校に眼帯をして来た友人がいた。理由を聞くと、父親に殴