駅構内が地下迷宮のようで、非日常の探検感を味わえるトンネル駅が、えちごトキめき鉄道の筒石駅(つついしえき、新潟県糸魚川市)だ。 特に湿度の高い夏場になると、連絡通路が霧で満たされ、構内の蛍光灯で拡散された光がなんとも幻想的な光景を映し出す。 地上からホームまでは、300段近い階段を下りなければならず、さらにいくつかの曲がり角がある。なぜこのような場所に設置されたのか。歴史的背景をたどりながら、実際の駅の様子をリポートしよう。 筒石は1912年(大正元年)に開業した北陸本線(当時)の古い駅だ。このときの北陸本線は海岸沿いを通る単線の路線で、開業当初の筒石駅も今とは別の場所にある地上駅だった(下図