第一審の判決の問題は、裁判官が「① 危険の切迫性」を最高裁の過去の判例とは異なる枠組みでとらえたことにあります。 我々は、原告の権利利益に対する損害があったから損害賠償を求めている。ですから、裁判では、原告の加藤裕希さんの家に危険が切迫していたかどうかが問題になります。しかし、これは「ピンポイントに加藤さん宅で凶悪犯罪が起きる」という危険の切迫性を意味しているわけではありません。 最高裁の過去の判例に、このようなケースがあります。伊豆諸島・新島(にいじま)の砂浜で、爆発しないまま海底にあった太平洋戦争時代の旧陸軍の砲弾が浜辺に打ち上げられて爆発し、偶然付近にいた住民が怪我をするという事件があり