養老孟司氏の名著に『バカの壁』(新潮新書、初版2003年)がある。その中に、「…自分が知りたくないことについて自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在する」とある。そして、これが「一種のバカの壁」であると書かれている(同書の14ページ)。 筆者は、半導体にもバカの壁があると思っている。しかも、そのバカの壁は半導体業界内に無数にある。元半導体技術者だった筆者は、今は半導体のジャーナリストやコンサルタントとして、半導体全体を分かっているような口調で本コラムを書いたりしているが、実は自分の専門分野以外には多数の壁が存在しており、「分かったふり」をして書いているだけである(ただし分かろうと努